第4回:後悔から学んだこと。見逃したくない「水と尿」のサイン

糖尿病のこと

これまでの話は、[第1回]での糖尿病の診断と緊急入院、[第2回]でまさかの再入院、そして[第3回]でようやくドロンに合うインスリンの量が見つかり、血糖値が安定するまでの日々を綴ってきました。

今回は、私が後悔している「ドロンが発していたはずのサイン」 についてお話しします。

【後悔】「食べているから大丈夫」という思い込みの落とし穴

当時は、食べているし、動いている。だから健康だと思っていました。 でも、その時のドロンの体の中では、処理しきれない糖を外に出すために、必死に水分を欲していたんです。 私が「元気に水を飲んでいる」と思っていた姿は、実はドロンからのサインでした。

私には1日の飲水量を量るなんて発想もありませんでした。 ただ、ふと気づくと器の水が空っぽになっていることが増え、「あ、今日はいっぱい飲んだんだな」と補充する日々。

トイレを掃除すれば、今まで見たこともないような大きな尿の塊があって驚くけれど、「これだけ水を飲んでいるんだから、そりゃ尿も多くなるよね」と、自分の中で勝手に納得してしまっていたんです。

ご飯の量は1日分を量ってあげていましたが、水と尿の量を管理することをしていませんでした。糖尿病になって初めて、猫にとってそれがどれほど重要なことかを知りました。

実際、多くの動物病院のHPやブログでは、水と尿の「適正基準」が提示されています。わかりやすく体重ごとにまとめました。

【水の量】見逃しやすい「多飲」のサイン

猫の祖先は砂漠で暮らしていた、という話を聞いたことがあるかもしれません。 もともと水が少ない環境にいたため、獲物の体から水分を得るのが彼らのスタイルでした。そう考えると、一緒に暮らす猫にウエットフードを与えることは、とても自然なことだと言えます。

しかし、ドライフードは種類が豊富で、保存も利き、手頃です。我が家もそうですが、ドライフードをメインにしているご家庭も多いのではないでしょうか。乾燥しているドライフードを食べている猫にとって、意識して水分を取ることは非常に重要です。

(ちなみに我が家の場合、小さい頃からウエットフードを与えていなかったせいか、老猫になった今ではあまり好みではないようで、食べてくれません……。)

では実際、猫にはどれくらいの水分量が1日に必要なのでしょう。

【1日に必要な水分量と飲み過ぎの水分量を知る】

まず初めに猫が健康を維持するための適切な「1日の水分量」を知ることが大切です。

必要な「水分量」は体重1kgあたり約40~60mlが目安で、異常を疑う「多飲」のボーダーラインは体重1kgあたり90ml〜100ml以上と言われています。

異常な飲水量の値を当時のドロン(体重4.8kg)に当てはめ平均値95mlで計算すると、1日約456ml。 食事分を差し引いても約451ml、普通のマグカップ300mlだと1.5杯分に相当する量です。

「実際、ドロンはそこまで飲んでいたかな?」と当時を振り返り、改めて器の容量を測ってみました。 朝から夜までに器が空っぽになるまで飲んで約250ml。夜から朝にかけてその半分を飲んだとすると、合計で約375ml

数字だけ見れば『異常の飲水量の基準以下』に見えるかもしれません。でも、ここが落とし穴でした。

当時の体重4.8kgの理想の量(約235ml)と比べれば、明らかに多く飲んでいたんです。 『基準値に達していないから大丈夫』ではなく、『異常(451ml)』に向かってどんどん増えていた過渡期だったことがわかります。『いつも以上に飲んでいる』という変化こそが、最大のSOSだったのだと今は痛感しています。」

我が家はドライフード派なので、もともと「水をたくさん飲むことは良いことだ」と思い込んでいたんです。しかし、そこには大きな落とし穴がありました。「水分を取ることは重要だが、飲みすぎは病気のサイン」。当時の私は、その事実を知りませんでした。

病気が発覚する約1ヶ月前のドロン

あくまでも基準値ですが、わかりやすく表にまとめてみました。良かったら参考にしてみて下さい。

[器から飲む理想の量と異常な量の目安表]

猫が1日に必要な水分量は食べているフードの種類によって大きく変わります。

ウェットフード: 水分が約75〜80%もあるので、器からはあまり飲まないこともある。

ドライフード: 水分が約10%と少ないので、器からたくさん水を飲むのが普通。

器から飲む水分量=(体重×50ml)-(食事量g×水分%)で計算します。

体重状態ドライ主食 (10%) 飲水量ミックス食 (42%) 飲水量ウェット主食 (75%) 飲水量
3.0kg理想144〜147125〜140105〜127
異常279〜282 以上260〜275 以上240〜262 以上
3.5kg理想168〜172145〜164123〜148
異常326〜329 以上303〜321 以上281〜306 以上
4.0kg理想192〜196166〜187140〜170
異常372〜376 以上346〜367 以上320〜350 以上
4.5kg理想216〜220187〜211158〜191
異常419〜423 以上390〜413 以上360〜394 以上
5.0kg理想240〜245208〜234175〜213
異常465〜470 以上433〜459 以上400〜438 以上

<この表の計算のポイントと注意点

「飲水量」はすべて、器から飲むべき水の量(ml)です。

※1日の食事量を「体重の1%〜2%」として幅を持たせています。

※体重1kgあたり理想の飲水量の平均値の50ml異常な飲水量の平均値95mlを基準にし、ウェットフード(水分75%)・ミックスはウェットとドライの中間(水分約42%)ドライフード(水分10%)として計算しています。(より正確な水の量を知りたい方は、パッケージに書かれている水分量で計算してみてください。)

  • 食事量が少ない子(老猫など): フードから摂れる水分が少ない分、器から飲む水の量は「多めの数値」が目安になります。
  • しっかり食べる子: フードから水分を摂れるため、器から飲む量は「少なめの数値」になります。

我が家のドロン(4.2kg)は現在、ドライフードを1日約40g(体重の約1%)食べています。この場合、器からは1日に約200ml程度飲むのが適量、ということになります。

皆さんの猫ちゃんも、年齢や体調によって「食べる量」は違いますよね。まずは「うちの子は毎日どのくらい食べているか」を確認した上で、この表を参考にしてみてください。

どうやって飲水量を把握するか?

基本的に以下の方法で量ることが出来ます。

1.1日の初めに、計量カップで量った水の量を飲む器に入れます。
2.1日の終わりに、残っている水を再度計量カップに戻します。
3.「1」から「2」を引いた量が、猫の一日に飲んだ水の量になります。

ただ、これが現実にはなかなか難しいものです。 猫は水が少しでも汚れると飲まなくなるため、頻繁に水を替えてあげたい。でも、そのたびに量るのは大変です。ましてや我が家のような兄弟飼いだと、正確に「どっちが何ml飲んだか」を把握するのは至難の業です。

現在の我が家の管理方法

試行錯誤の結果、現在は「50mlずつのメモリ付きの器(セリアの調理ボウル 12.8cmを活用しています。 最初に入れる量を決めておけば、パッと見て「だいたいこれくらい減ったな」と把握できるようになりました。

座って水を飲むドロン
セリアのボウルとスタンドを合体

我が家で使用している水飲みグッズ]

購入店 セリア(Seria)

商品名 調理ボウル 12.8cm  / JAN 4 991203 195210

     ブックスタンド U型 / JAN 4 947879 022527

また、水を飲みすぎるのも心配ですが、逆に少なすぎて脱水気味の状態も、膀胱炎、尿路結石など、病気のリスクが高まってしまいます。(レオンは飲水量が少ない方で、過去に尿路結石になっています。)

ここまでは飲水量のお話でしたが、飲水量に変化があれば「尿」にも変化が現れます。 次は、もう一つの重要なサインである「尿の量」についてお話しします。

【尿の量】飲水料も増えれば尿も増える「塊の大きさの変化」に注目

「飲む量が増えれば、出る尿の量も増えるのは当たり前」 当時の私はそう思っていました。でも、それは当たり前ではなく体からの危険なサインだったのです。

当時のドロンのトイレを掃除した時の感触は今でも覚えています。我が家ではベントナイト(固まる砂)を使用していますが、壁や底まで砂がこびりつき、半日経って掃除をする頃にはスコップで持ち上がらないほどの大きな塊になっていました。

今思えば、それこそがドロンの体が悲鳴を上げていた証拠だったのです。それに気づいてあげられなかった...

そこに気づくためにも、体重ごとに尿の量(正常・異常)を表にまとめてみました。

1日の尿の量(正常と異常)の目安

一般的に、猫が1日に出す尿の量は体重1kgあたり20~30mlが正常50ml/kgを超えると多尿を疑う異常のサインです。多尿の場合、糖尿病や腎臓病、甲状腺機能亢進症などの病気が隠れている可能性があります。

愛猫の体重正常な尿量(1日)多尿(異常)のライン
3.0kg60 〜 90ml150ml 以上
3.5kg70 〜 105ml175ml 以上
4.0kg80 〜 120ml200ml 以上
4.5kg90 〜 135ml225ml 以上
5.0kg100 〜 150ml250ml 以上

ドロン(4.2kg)に当てはめると、正常なら1日84~126mlですが、210mlを超えると異常ということになります。あの巨大な塊を考えれば、優にこのラインを超えていたはずです。

注意: 尿は「多すぎる」だけでなく、「極端に少ない(急性腎不全や結石など)」場合や、「何度もトイレに行くのに出ていない膀胱炎や尿道閉鎖など)」ときも、命に関わる病気のサインです。

現在の我が家の管理方法

現在は、なるべく日々の変化を見逃さないよう工夫しています。ドロンはだいたい1日に3~4回尿をするので、1日の標準的な尿量を平均値を3で割った「1回分の水」を使用してないベントナイトに流し、その固まった塊を見本として保管、または「1日分(1回分×3の塊)を保管。これと実際の尿の大きさを見比べたりして、異常がないかを確認しています。

ドロンの場合平均値105ml。3で割ると35mlになります。下の写真が35mlの塊の写真です。猫を飼っている家なら必ずあるお掃除用の粘着ローラー(コロコロ)と並べてみました。これが1回の標準で、この倍になると70ml、異常な尿の量になります。

※35mlは4.2kgのドロンの1回分目安です

以前は、水量や尿量の管理はもちろん、健康診断すら受けていませんでした。「もし受けていれば予防ができたか、もっと早期に発見できていたかもしれない」と後悔しています。

当時はご飯を食べる元気があるから大丈夫だと勝手に思いこんでいました。その勘違いこそがドロンをケトアシドーシスによる緊急入院まで追い込んでしまった原因です。

もうあんな思いはさせたくないと毎日管理に努めていますが、正直なところ猫の糖尿病の管理は本当に大変です最近でこそやっと落ち着いてきましたが、診断後は容体が不安定な時期が多々ありました。その話はまた後日綴りたいと思います。

※今回紹介した飲水と尿の量の基準の数値は、私が調べた時点での情報を元にしています。獣医学の基準は変わることもありますし、個体差も大きいため、最新の情報や愛猫ちゃんに合わせた判断については、必ずかかりつけの獣医師さんに相談してくださいね。

次回は気になる入院時の費用の話です。

〜この他のドロンの糖尿病きろく〜

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