前回までは、猫が何を感じているのかは猫の様子を見て総合的に読み解く必要があるというお話をしました。
今回は、我が家に兄弟猫が初めてやってきた17年前の初日のエピソードを交えながら、猫の「仕草の裏にある本当の感情」、「兄弟でも違う性格」についてお話しします。
あの時の『ゴロゴロ』は、安心のサインではなかった
17年前、我が家にやってきた初日のこと。私は大きな勘違いをしていました。
我が家に来た初めての日、ドロンは、家に入るやいなや一目散で家具の下に隠てしまいました。
話しかけても、一向に出てこないので、私は半ば強引に連れ出し、抱き上げ「大丈夫だよ」と頭を撫でたり、体をさすったりしてあげました。すると、ドロンの体から『ゴロゴロ』と音が鳴り始めたのです。
私はてっきり、心を開いてくれたのだと安心しました。けれど実は、それは「喜び」ではなく、震える心を必死に抑えるため、自分を安心させるための『ゴロゴロ』のサインだったのかもしれません。
あの時のドロンは、不安からしっぽを足の間に巻き込み、耳を伏せていたはず。
当時の私はそんなことも気づかず、勘違いしていた。猫への理解も観察力も足りていませんでした。「あの時もっとゆっくり待ってあげれば良かった」と、今でも後悔が残っています。

ドロンとは対照的、まるで物怖じしないレオン
一方、当時からレオンは物怖じしないタイプで、初日から家の中をどれどれという感じで歩き回っていました。
完全に無防備ではないけれど、警戒もしていない。「次は何をしようかな」とか「異常なし」とパトロールを楽しんでいるような「リラックスした探索モード」でした。おそらく、しっぽを下げて先だけを上に向けていたはずです。
人に対しても動じず、誰でもウェルカムという雰囲気でした。
同じ日に生まれ、同じ環境で育った兄弟でも、ここまで性格が違うのかと驚かされた瞬間でした。

話せない猫だからこそ感情表現を観察することの大切さ
17年が経った今、ドロンが私の元へやってきて『ゴロゴロ』と音を鳴らすときは、当時とは全く違うサインを出してくれます。
今はしっぽを上向きにして誘ってきて、私の動向を確認しながら歩き、それに応えて着いていくと、「ここでお手入れして」とソファーまで案内してくれるのです。
お手入れを始めると、幸せそうに目を細め、すごい勢いで『ゴロゴロ』音をならしながら、しっぽをゆっくり振りって、リラックスしてくれます。
慎重な性格のドロンは、ゆっくり時間をかけて、本当の信頼のサインを見せてくれるようになりました。

猫は痛みを隠す動物ですし、感情を大げさに表現もしません。だからこそ、私たち飼い主が「ゴロゴロ=機嫌が良い」といった一つの記号だけで判断せず、猫の全身から出るサインを総合的に読み取ってあげることが大切なのだと思います。
あの日の私のように、間違った感情の読み取りをしないように。これからも、彼らが発信する小さな変化に気づけるよう、心がけたいと思います。

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